所得格差が拡大しており、それが教育格差に繋がっていると言われています。
なぜ所得格差が教育格差に繋がるのでしょうか。
今回の記事ではなぜ繋がるのかを論じる前に、「本当に所得と学力って相関関係があるのか」を考えてみたいと思います。
目次
どうすれば所得が学力に影響していることを検証できるのか
「所得と学力には相関関係がある」ということを検証するのはとても難しいと思います。
学力テストの結果と児童生徒1人1人の親の所得を調査すればわかることではありますが。
その調査が難しいですよね。
そこで公表されているデータを使って実証できないか考えてみました。
大阪府のデータを合わせると概ね検証できます
泉佐野市は平均所得が低いというデータがあります。
また、学力についても泉佐野市の平均値は大阪府の中でも低い方であるというデータがあります。
でもこの二つをもってして、所得と学力は関係がある!とは言えませんよね。
そこで、もしかしたら府内の学力テストの結果と所得の順位を並べてみたら、実証できるんじゃないかと思いました。
①大阪府の実施した中学生チャレンジテストの結果(平成29年度)
http://www.pref.osaka.lg.jp/shochugakko/challenge/index.html
(こちらの大阪府のHPからご覧いただけます)
②大阪府市町村なんでもランキングにおける住民1人あたりの決算額の中の個人住民税(平成29年度)
http://www.pref.osaka.lg.jp/shichoson/zaiseijoukyo/nandemo.html
(こちらも大阪府のHPからご覧いただけます)
この2つを表に並べてみました。
するとなんと半数以上の結果が学力と所得の順位がほぼ同じで、順位の差が3以下という結果となりました。
順位の差が5以下で言えば、24/34自治体が当てはまります。
市町村の平均値ではありますが、これは所得と学力に相関関係があると言えるデータではないでしょうか。
中三でも当てはまりました
このデータはたまたまじゃないか、と私も思いましたので、もう一つ中三のデータを使って表を作成してみました。
こちらも結果はほとんど同じでした。
順位の差が5以下であるのは、26/34自治体が当てはまりました。
自治体間の所得水準の格差が、自治体間の学力の格差に繋がっています。これは平均値とはいえ、「親の所得の平均が高い人が多い街は、学力の平均が高い人が多い」ということが見えてきました。
所得と学力には相関関係がありますが、あきらめてはいけません
先ほどのデータの赤い部分、もしくは右下を見て下さい。
所得を示す個人住民税の順位が低くても、学力は高い自治体があるのです。
しかもその自治体は中一も中三も共通していました。
中一で頑張っていたのは、柏原市、寝屋川市、羽曳野市、阪南市、泉南市です。
中三で頑張っていたのは、豊能町、寝屋川市、阪南市、泉南市でした。
3つの自治体が重なっているのです。
この要因はわかりませんが、何らかの施策や家庭の意識などによる影響があるものと思われます。
街の努力によって、所得の影響を受けない手段もあるということです。
所得の差を埋めれば学力の差も埋まる
学力と所得の関係性の結果を見ると、所得が低いとどうしようもないと思ってしまいますが、逆に言えば、「所得の差を埋めれば、学力の差も埋まる」ということがはっきりと言えることにもなります。
その方法はたくさんあるかもしれませんが、いくつか私の考えを書きます。
経済 | 経済施策によって所得を上げる。(自治体や国、政治の役割) |
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所得再配分 | 学校外教育バウチャーにより、所得格差を埋める。(自治体や国) 所得の差が教育の差に影響する要因は、学校外教育(塾や習い事)への投資額の差である可能性が高いのです。 |
家庭教育力 | 家庭における子育て、教育に力を入れる。(個人及び自治体等による施策) |
地域教育力 | 学校外教育が教育に影響があると言われていますが、それは単に学習塾による影響ではなく、多様なコミュニケーションを取る機会から学べることによる影響とも言われています。 地域において、交流できる場がたくさんあれば、解消できる可能性もあります。 |
学校教育力 | 全員が受ける公教育の質が高まれば、教育の差は埋まります。 海外では日本のような塾はないそうです。 |
泉佐野市はこれまで財政難で、教育費を含め様々な分野で予算を削りながら運営をしてきました。
しかし、ピークを越えたこれからは、教育への投資を最優先で増やし、地域間格差や所得格差を埋めていく必要があります。