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泉佐野市議会関空りんくうまちづくり委員会で、関西国際空港の現況について報告がありました。
まちの雰囲気は、コロナを感じさせないような状況に戻りつつありますが、最も影響を受けているのが何かというのが関空の現況から見えてきそうなので記事にします。
まず旅客便数についてです。
国際線の旅客便数は下図のように推移しました。
国際線旅客便数 | 国際線旅客数 | |
2019年8月 | 1410便/週 | 222万4千人 |
9月 | 1334便/週 | 187万6千人 |
10月 | 1282便/週 | 195万6千人 |
11月 | 1346便/週 | 198万人 |
12月 | 1389便/週 | 199万8千人 |
2020年1月 | 1424便/週 | 205万3千人 |
2月 | 928便/週 | 107万2千人 |
3月 | 320便/週 | 24万人 |
4月 | 37便/週 | 7千人 |
2月から激減しています。
インバウンドがどんどん伸びてきて、泉佐野市にはホテルが乱立するようになってきた矢先の出来事です。
また、大阪や京都にもインバウンド激減の影響は相当あると思われますので、この数字は国民ひとりひとりの自粛だけではなく、経済的には観光産業関連が最もダメージを受けていると言えるでしょう。
泉佐野市政においても、関空関連税収は相当大きいので、来年の税収にも大きな影響があると予測されます。(但し、税収が減った分は国から交付税で75%カバーされ、法人税の減額分は条件のいい補填債を発行でき、さらに返還額の75%を交付税算入されるようなので、相当額はカバーされます。※計算式は正確にはもっとややこしいようです)
国内線は下図のように推移しています。
国内線旅客便数 | 国内線旅客数 | |
2019年8月 | 471便/週 | 65万6千人 |
9月 | 447便/週 | 59万4千人 |
10月 | 418便/週 | 56万5千人 |
11月 | 430便/週 | 56万5千人 |
12月 | 433便/週 | 55万4千人 |
2020年1月 | 441便/週 | 55万3千人 |
2月 | 442便/週 | 50万7千人 |
3月 | 440便/週 | 37万7千人 |
4月 | 200便/週 | 6万6千人 |
国内線も半減となっています。
5月以降の数字はまだわかりませんが、7月以降は国内線はある程度持ち直していくかもしれません。
しかし、国を挙げて、観光産業に力を入れてきましたから、様々な投資もあったところが一気に沈んだということで、相当苦しい状況に立たされている企業があると思います。
関空がどれほど伸びてきたかは下図を参照ください。
2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | |
総発着回数(万回) | 10.8 | 12.9 | 13.3 | 14.5 | 16.9 | 17.8 | 18.8 | 19.0 | 19.6 |
外国人旅客数 (万人)) |
276 | 382 | 497 | 699 | 1100 | 1243 | 1501 | 1552 | 1468 |
昨年まで、かなりの勢いで伸びていたことがわかります。
この勢いで様々な仕事が生まれていたはずですから、激減の状況が続けばかなりの仕事がなくなる可能性があります。
しかも、本来なら東京オリンピック・パラリンピックがあり、さらに大きな需要を予測していたところでもあります。
しかし、旅客数は激減したものの、伸びているものも、関空の現況から見えてきます。
それは航空貨物です。
航空貨物便は激増しているようです。
下図をご覧ください。
貨物便(発着回数) | 貨物量 | |
2019年8月 | 1223回 | 6.2万トン |
9月 | 1184回 | 6.5万トン |
10月 | 1216回 | 6.7万トン |
11月 | 1286回 | 7.1万トン |
12月 | 1329回 | 6.7万トン |
2020年1月 | 1092回 | 5.6万トン |
2月 | 1106回 | 5.3万トン |
3月 | 1509回 | 6.4万トン |
4月 | 2002回 | 6.0万トン |
これを見て、あれ?と思った方もいると思います。
貨物便が倍増しているのに、貨物量は変わらないじゃないかと。
私もネットショッピングや医療物資が伸びて、貨物便が増えているのだと思っていました。
(減っているものも多々あるので、それもあるようではありますが)
貨物量が変わっていないけれども貨物便が増えているのは、これまで旅客便で運んでいた分は貨物便数には含まれておらず、その旅客便が飛ばなくなったので、そこに積んでいた貨物がこれまでの貨物便だけでは運べなくなり、旅客便も貨物便として活用しているということのようです。
だから全体の貨物量は変わらなくても、貨物便が増えているのです。
でも貨物便が増えているということは、旅客がほぼストップしている空港にとっては、着陸料の確保となり、航空会社にとっても飛行機を稼働できることになります。
ただ、それが旅客をカバーしているかといったら、そこまでではなさそうです。
総発着回数(4月) | 4411回(前年比-75%) |
うち国際線 | 2535回(前年比-81%) |
うち国内線 | 1876回(前年比ー54%) |
泉佐野市にとって、非常に危機的な状況となることが予測されるデータでありますが、インバウンド経済が好影響を与えていた大阪や京都、奈良などにも大きな影響が出ているものと思います。
全国の観光地に影響が波及するものとも思います。
飲食店等への自粛状況は改善しつつあり、全国的にも一旦経済の維持へと舵を切ったような雰囲気があるところですが、海外との関わりという観点では、まだまだ先は見通せない状況だと言えます。
おそらく、新型コロナウィルスのワクチンや治療薬が普及するまでは、海外に開く状況にはならないと思いますし、日本が安心できる状況になったとしても、海外各国でそれぞれ感染が収まるまでは、鎖国状態は続くと考えられます。
このような観点から、航空に関連する経済を元に戻すことは容易ではなく、業態の変化や設備投資の維持回収も簡単ではない分野であるのではないかとも思いますが、このような状況を見ながら、経済の動きを把握するとともに、空港のある泉佐野市としても、状況の改善を考えていく必要があると感じています。
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