読書は学力に影響がある、と言われています。
読書が教育への効果を上げるには、ただ本があれば良いというわけでなく、本や教材を上手く使えるよう手助けしてくれる大人や先生の協力が必要とも言われています。
しかし、泉佐野市では図書教育に力を入れようと思っても、それが難しい環境があります。
これは先にフォローしておくと、泉佐野市は財政難の影響で、公債費(借金の返済金額)が異常に多く、教育も含めて様々な予算を削らざるを得なかったことが原因です。
しかし、これからは公債費のピークを超えましたので、徐々に下がってくる公債費分の予算を、どこにどう使い、他市よりも劣っていた部分に優先順位を付けて、予算配分していくことが必要となってきます。
では、泉佐野市の学校図書の現状はどのような状態なのか。
下図をご覧ください。
小学校名 | H30蔵書数(冊) | 基準蔵書数(冊) | 図書標準達成率 |
第一 | 5,139 | 9,160 | 56% |
第二 | 9,482 | 12,760 | 74% |
第三 | 4,677 | 7,000 | 67% |
日新 | 7,799 | 10,760 | 72% |
北中 | 8,171 | 10,560 | 77% |
長坂 | 6,785 | 10,360 | 65% |
日根野 | 7,832 | 12,880 | 61% |
大木 | 7,261 | 5,560 | 131% |
上之郷 | 7,159 | 8,360 | 86% |
長南 | 5,339 | 10,560 | 51% |
末広 | 7,655 | 10,760 | 71% |
佐野台 | 4,783 | 7,000 | 68% |
中央 | 7,830 | 11,760 | 67% |
合計 | 89,912 | 127,480 | 71% |
基準蔵書数というのは、学級数に応じて何冊ぐらい蔵書してください、という基準となる数字です。
これを実際どの程度達成できているかというのが、一番右の図書標準達成率です。
市立小学校合計の71%という数字は多いのでしょうか、少ないのでしょうか。
これは文科省が全国平均を出しています。下図をご覧ください。
市内小学校の達成率は71%ですから、一番右の9.3%の中に属していることになります。
全国の66.4%の小学校が100%達成しており、90.7%の学校が75%以上を達成している状況です。
これは大変低い状態にあると言えます。
私もこの数字を見るまで、現状をはっきりと知りませんでしたが、早急に対処しなければならないと考え、6月議会においてもこの議論をさせていただきました。
また、学校図書室司書の人数も充実できていません。下図は近隣の市町村の状況です。
自治体名 | 小中学校数 | 司書人数 |
泉佐野市 | 18校 | 6人 |
熊取町 | 8校 | 8人 |
阪南市 | 13校 | 11人 |
貝塚市 | 16校 | 8人 |
泉南市 | 14校 | 5人 |
熊取町は1校あたり1人が配置されています。
泉佐野市は、小学校13校、中学校5校で6人が巡回している形となっています。
これも大きな差がありますね。
また、施設の壁という大きな課題もあります。下図は図書室の面積です。
小学校名 | 図書室面積(㎡) | 児童数(人) | 1人あたり面積(㎡) |
第一 | 112 | 337 | 0.33 |
第二 | 128 | 701 | 0.18 |
第三 | 42 | 123 | 0.34 |
日新 | 130 | 422 | 0.31 |
北中 | 82 | 362 | 0.23 |
長坂 | 63 | 325 | 0.19 |
日根野 | 98 | 803 | 0.12 |
大木 | 94 | 52 | 1.81 |
上之郷 | 38 | 226 | 0.17 |
長南 | 89 | 418 | 0.21 |
末広 | 130 | 395 | 0.33 |
佐野台 | 64 | 112 | 0.57 |
中央 | 66 | 601 | 0.11 |
合計 | 1,136 | 4,877 | 0.23 |
学校によって差がありますが、狭いところはかなり狭い状況です。
図書室が狭いということは、読書をしたり、本を探したり、調べ学習をしたりするスペースをほとんど取れない、ということです。
特に、大阪府から学校図書モデル校(GTM)に今年4月から2年間の指定を受けている中央小学校は1人あたり面積は最低の数字です。
一人当たり蔵書数も非常に低い状況ですから、モデル校として成果を上げてもらうためには、力強く支援しなければいけません。
ICT特認校となっている第三小学校や、体力づくり特認校となっている佐野台小学校のように、特定の分野に特に力を入れることによって教育に効果をもたらす結果を他校に広める役割を担ってもらうべきと考えます。
しかしながら、上で「施設の壁という大きな課題」と書いたのは、実はどの学校も空き教室が全くない状況なのです。
これは支援学級が増えていることが主な要因なのですが、図書室を拡大したくても、そのスペースがありません。
これはすぐに解決できる問題ではありませんが、まずは知恵を絞って、オープンスペースを活用するなどし、図書の充実を早急にしなければならないと考えます。
※この記事は令和元年6月の状況です。